ぬくもり
                         詩:流璃亜さん  
「大丈夫…怖くないよ」

あの声を聞いたのは いつのことだっただろう
ただ覚えているのは
自分にしか視えない 不確かな存在に
怖くて心細くて 泣いていたこと
そしてあの時 俺の頭に乗せられた
大きく…とても温かい手

なぜかその時だけ 不思議と安心してたっけ
あまりにその手が温かくて
自分の手を重ねたけど 触れられずに
また泣いてしまったこともあったっけ…

あの頃の俺には
その手を持つ人の姿はおぼろげだった
顔も見ているかもしれないけど
眩しかったのか 目を細めてしまったんだよな
だから 記憶にあるのは
あの温かい 手のぬくもりだけ

―――そして今
口にはしていないけど わかっちゃったよ

あの「手」は…あなただったんだね?
ずっと昔から いてくれてたんだね

だって 何年たとうと忘れることのない
あの手と同じぬくもりを あなたに感じるから

…ありがとう
そしてこれからも いてほしいと思ってしまうのは
俺のわがままだろうか

いつか それを口にしてしまったとき
当たり前だろう、と 笑って言ってくれた
そなたの命が果つるまで、と あの手で答えてくれた

今だけは 信じていてもいいよね
あなたがこうして いてくれるということを
あのぬくもりも そばにあるということを…




またまた、流璃亜さんから素敵な詩を頂いてしまいました〜。今回は佑介視点です。
「夢想の月」の「おぼろげな手」のCGからイメージして下さったそうです。ですので背景もそのCGを加工したものを使いました。
…うん、佑介ってこう思ってそうだなあ。私も「いて欲しい」って思ってしまうもの。
いつかは別れることがあるかもしれないけど、今だけはこのままでいたいという気持ちはわかっちゃいます。

流璃亜さん、今回も素敵な詩をありがとうございました。


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